皆様、こんばんは。

もう回顧は止めました。
成績が良くないからと言う話ではなくて、やったらやったで「ああしろ、こうしろ、あれはやめろ、これはやめろ、あれは書くな、これは書くな」と煩いですし、やらなかったらやらなかったで、なんでも無料で享受出来ると思い込んでいる輩が「回顧は義務だからやれ」と意味不明な主張をして上から要求。もちろんね、こういうのって無駄に声だけが大きい一部が言ってくるだけで、ほとんど多くの皆様は何の文句も言わずに楽しんで頂いていると頭では分かっています。そういう方に楽しんで頂きたいと思って書いて来ましたが、もう我慢の限界ですし、ストレスで頭おかしくなります。
と言うことで今週も回顧はやらない予定でしたが、菊花賞はあれだけ自信があると書いたレースですし、せめてゲルチュタールに関してだけは回顧しておく必要があると思いましたので、この記事を作っています。

予想を見ていない皆様にも話が通りやすいように、とりあえず菊花賞の印とゲルチュタールの解説文を転載します。

 【2025 菊花賞】 
12ゲルチュタール
15エリキング
9エネルジコ
10ジーティーアダマン
5ジョバンニ
18レッドバンデ
11マイユニバース
6ミラージュナイト
7ショウヘイ
4ヤマニンブークリエ
菊花賞結果
本命12ゲルチュタール
2歳9月にデビュー出来たものの、当初は厩舎関係者のみならず騎乗した騎手達も揃って「緩い」「未完成」とコメントしていましたが、その通りにレースでは促しつつでなければ追走出来なかったり、コーナーでは更に手応えが渋くなって上手く加速出来ないなど、「未完成」のコメントにも深く納得するレース振り。そういった中でも、前後半58.3-61.6秒と当時の本馬にはハード過ぎた流れ且つ今思えば距離も短かった25京成杯以外は堅実に走り、2勝を挙げつつ25青葉賞ではエネルジコ(25新潟記念2着)と0.1秒差3着の実績を残したのですから素質の高さには疑いようはなく、完成した暁には世代最上位級にまで成長することも期待出来たわけです。
そして、そんな未完成な本馬がいよいよ本格化したかと思わせたのが2走前(25三田特別)で、このレースの1週前追い切りではCWの6F自己ベスト時計を2秒以上も更新しつつ、ラスト1Fラップはこれまで通りにまとめる調教時計を出して成長をアピール。緩かった歩様にもキレが出るようになりましたが、結果は2着に5馬身差を付ける圧勝。この2着馬が次走2勝C→次々走3勝Cを連勝し現OPのファミリータイムで、3着馬は次走2勝Cを勝つダノンシーマですから価値は特大で、故に続く前走(25日本海S)の勝利も当然。OP馬として堂々と菊花賞に挑むのが今回です。
ただ、本格化したからと言って本当に能力が足りるのか?が問題ですが、結論を先に言えば全く問題なし。まず、本馬はキレる脚には欠ける代わりに長く良い脚が使えるタイプで、新馬戦を除く3勝は全て4~5Fロンスパ戦。そんな本馬にとってスローラスト3F戦で瞬発力は要求された25青葉賞は適性外の流れで、その中でクビ+ハナ差に健闘したことは立派。しかも前述した通りにこれは本格化前のレースですから、本格化した現状においてロンスパ戦になればエネルジコを逆転するだろうことは容易に想像出来ますが、そのエネルジコが今回1人気に支持されるわけですから、これだけでここでも通用するどころか最上位の評価が必要だと分かります。また、前走(25日本海S)の時計・ラップは正直なところ23日本海S(勝ち馬ドゥレッツァ)や24日本海S(勝ち馬ヘデントール)にはやや及びませんが、強敵相手に圧勝した25三田特別でもラスト1Fまでは接戦で、2着以下を引き離したのは残り1Fだったように2200mの距離は本馬にはやや不足。レース後に坂井瑠星Jが「早めに来られて着差こそ僅かでしたが、全く抜かれる気はしませんでした」とのコメントを残していますが、ゴール地点から更に伸びそうな様子を見せていたことから強気なリップサービスとは思えず、続けて「これまでにバテたことが無いスタミナお化けです」とのコメントから、やはり2200mでは能力を出し切れなかったはず。従って、2023年や2024年にやや及ばなかった内容を心配することはないですし、そもそも前2年の勝ち馬は菊花賞好走馬なのですから尚更。もっと言えば、距離不足ながら後の菊花賞好走馬の時計・ラップに肉薄出来たことは、菊花賞での好走が約束されたとも言えるわけです。
以上から、どう考えても能力は通用しますし、今年は皐月賞の1,2,3,5着馬、ダ―ビーの1,2,4着馬不在の飛車角落ちのメンバーなのですから尚更。そして前走でも輸送で馬体を減らしていましたが、今回は地元戦で調教後馬体重を見ても適正な馬体重で出走出来そうなのですから、まだ上積みがあるとも。これまでより最も本数を乗られて負荷を掛けられた調教過程も好感が持てるもので、道悪の2走前で圧勝して居るように雨馬場も全く問題なし(むしろ他が苦にするなら優位性すら持てる)。また、瞬発戦よりロンスパ戦向きだけに4Fロンスパ戦がデフォルトの京都は大歓迎で、ジーティーアダマンがスタミナ戦に持ち込みそうな展開もスタミナ自慢の本馬には渡りに船。更には坂井瑠星J騎乗時は4戦4勝で、同騎手はショウヘイにも乗れた所を蹴って本馬を選択したことも心強いところ。これらから不安要素は全くなく、消えるシーンは想像出来ず。それでいながら4~5人気に留まっていて旨味も十分あるのですから、本馬と心中する以外の選択肢は思い付きませんし、そうする以外はあり得ません。この秋一番になるかも知れない勝負レースの本命馬として相応しい本馬を自信を持って推奨致します。

********************************************************************************
この予想文では言及していませんでしたが、本馬を自信の本命馬に推奨する決め手になったのが枠順。と言うのも、本馬はブリックスアンドモルタル由来の他馬を気にする面があるからで、能力と適性には大いに自身はあったものの変に揉まれ込む枠は絶対に避けたいと思っていました。事前の希望は「外過ぎない外」「ハナを切る可能性があるジーティーアダマンとマイユニバースは内を切って来るので、それらよりも外」で、これが叶えば勝負レースにしようと考えていましたが、木曜に発表された枠順は完璧と言って良いもの。あれで完全に的中を確信したわけですが・・・
他馬を気にすることについて補足しておくと、ゴール前で3頭の叩き合いの真ん中だった24葉牡丹賞では「最後も3頭で並ぶ形になり、両側に馬がいて挟まれたことで、そのまま進んでいいのか躊躇していました」とマーカンドJはレース後にコメント。25京成杯前には「レースでも1週前追い切りでも、内外から挟まれると頭を上げるところがある」と杉山調教師はコメント。これらのコメントやレース振りからブリックスアンドモルタル産駒らしい他馬を気にするタイプであることは間違いありません。

どう考えてもスタミナ型で速い脚は持っていないことは予想本文で書いた通りで、揉まれたくないことは今書いた通り。これらを踏まえてレースプランを考えた場合、揉まれない外番手の位置を取ってスタミナを生かす形が理想の競馬でプランA。ただ、二の脚はあるもののスタート自体は速くないので、もし番手が取れなければ中団外を取って二周目の丘の下りからスパートすること、これがプランB。私が騎手ならばそうプランを立ててレースに臨んだと思います。

そして、実際のレースはどうなったかと言うと、懸念通りにスタートはそれほど速くなかったものの、一周目の3~4角では中団外が取れましたので、完璧ではなかったですがプランBの形は作れましたので悪くない最序盤でした。
菊花賞1
最も難易度が高いのは正面スタンド前までに理想の形を作ることでしたから、早々にこの形が作れたならば後は簡単。絶対にやってはいけないのは内が開いたからと言ってインに誘導しないこと。なぜならば、25新潟記念で出遅れながらも序盤の内に位置を回復し、その上で折り合った操縦性の高いエネルジコがペースが緩む向正面までに間違いなく外から上がって位置を取りに来るから。1人気エネルジコが動けば追随する馬は複数出て来ることは容易に想像出来ることで、そうなると外に出したくても出せない最悪の事態になってしまいます。
多くの皆様は車の運転が出来ると思いますので車に例えますが、あなたは交通量が多い片側3車線の道路を走っているとします。700m先で左折する必要があるので、どこかで左車線に入らなくてはいけません。その状況で右車線は走らないですよね?また、交通量が多くて簡単に車線変更出来ないと考えるならば、最初から左車線に居るのがベターでしょう。今回のゲルチュタールはそれと似た状況でしたから外に居るべきでしたし、車の場合は前に遅い他車が居てスピードを上げられませんが、競馬の場合は好んで外(車で言う左車線)を走る馬は居ませんし、本馬の場合は前に馬が居なくても折り合いは付けられるのですから、尚のこと内に入れる理由はありません。それによって外を回されるとしても1~2角はペースが遅いので負担は小さいわけで、最終的に被されてしまうリスクを考えれば、1~2角を外で回すロスなど大した問題ではありません。

それだけに、一周目4角出口ではここに居たのに
菊花賞2
一周目ゴール前ではポッカリ空いたところに吸い込まれるように内に誘導してしまったのですから頭を抱えました。
菊花賞3
ここまでに書いたことを「結果論」と思う方もいらっしゃるでしょうが、この程度のことは全頭の性格を知っていれば事前に十分想定出来ることで、何も難しいことではないです。この正面スタンド前で内に入れてしまった瞬間から何度「おいおい」「はよ外出せ!」「お前さぁ・・・」とテレビの前で叫んだことか。もうあの時点で勝負所で包まれてしまうことは楽に予想出来たのです。

案の定、直後にラーシャロームに外から被されたのですから、もうあの時点で黄色信号。
菊花賞4
そのラーシャロームは1~2角で位置を上げてくれたので助かりましたが、その後も外に誘導する様子はなく、その内に今度はマイユニバースに外から被され、そのまま向正面に入り
菊花賞5
エネルジコとエリキングがそれに追随したため、いつまで経っても外に出せずに馬群内のまま・・・
菊花賞6
結局、二周目3~4角中間を迎えてもまだ外から被されたままで
菊花賞7
結局最後まで外に出すことは出来ないままフィニッシュすることに。
菊花賞8
3角からゴールまでずっと外併走していたエリキングをどれぐらい気にしたのか、それによって本来使える脚がどれぐらい使えなかったのかは知る由もありません。ただ、最初に書いたように他馬を気にする性格、前に出ようか躊躇するような性格だけに影響が全くなかったとは流石に言えないでしょうし、そもそもが瞬発力には欠けて長く脚を使わせたい(「スタミナおばけ」だと語ったのは外ならぬ坂井瑠星J)わけですから、外から被され続けて極めて仕掛けが遅くなった影響が甚大だったことは間違いありません。
外から次々に被されて仕掛けが遅れたことをマスコミは「不運だった」と書いていましたが、本馬の性格等を考えた時、これは不運などではなく必然の帰結。あの一周目スタンド前における致命的大間違いな進路選択が全ての原因になったことは明らかで、「なぜあれほど安易に内に入れてしまったのか」、本当にもったいないことをしてくれたなと思います。

ゲルチュタールが伸び伸びと走って能力を出し切れていたならば、印上位3頭の完璧な予想になっていたはず。正直なところ「正解を不正解にされてしまった」思いは強いです。ただ、どういう内容だろうと出た結果が「正解」なのだとすれば、私の予想は「不正解」でしかないですし、結果を残せなかったことは事実。負けは負けで、それ以上でもそれ以下でもないです。また、3着エキサイトバイオについても「コーナー6回且つ4Fロンスパ戦がデフォルトも本馬に合う舞台。母の弟にはレインボーライン(天皇賞春勝ち、菊花賞2着)の名があり、父レイデオロ産駒は芝2500m以上で【9-8-2-19】複勝率50.0%の血統背景、同伸びのある馬体から3000mの距離も良さそうですから、これらから「買い」と考えることは可能です」とまで書きながらも無印にして拾えていないのですから、考えに考えた末の予想としては極めて甘かったのは間違いありません。兎に角「詰めの甘さ」だけは無いようにと慎重に予想を組み上げた結果がこれなのですから失格ですよね。レース直後には騎手に責任を押し付ける考えでしかなかったですが、私自身にも足りないところはあったわけで、今では必然の結果だったのかも知れない、とも考えます。

あれだけ煽るようなことを書きながら、最良の結果を残せなかったことにはお詫びしかありません。本当に申し訳ございませんでした。ただ、かなり時間を掛けて様々なシミュレーションを行った上での相当な自信があったレースであったことは紛れもない事実で、皆様を勝たせることが出来ると確信していただけに本当に悔しいですし無念です。