
いつもご訪問下さり、誠にありがとうございます。
1日1クリックのご協力をお願い致します。
皆様、こんばんは。
本日は「しらさぎS」について考えます。
ご存知の通りに新設重賞になりますし、前身の米子Sはリステッドですから過去データは参考にならず。
と言うことで、今回は阪神芝外1600mコースについて考える回にしましょう。
まず脚質の有利不利について考えたいですが、先にマイル全コースにおける位置別成績を見てみます。尚、データは2024年までの過去10年、新馬戦を除く13頭立て以上戦を対象としています。以降も注釈が無い限り、同じ条件でのデータを掲載します。

競馬は基本的に前で立ち回った方が有利。最序盤のペースが上がり切っていない段階で位置的な差を作れるのはどう考えても先行馬有利に働きますし、差し馬はペース次第で出し切れずに脚を余すこともしばしば。また前で立ち回る馬は差し馬に比べて内を回せる可能性が高く距離得がありますし、多頭数で走る上で不利を被る可能性が低いのも先行馬。これらから前有利になるのは当然で、これはデータからも明らか。そしてこれは距離に関わらず同じ傾向を示します。
従って、どのコースでも差し馬の好走率が先行馬を上回ることなどあり得ないのですが、各コース比較で先行馬有利・差し馬有利の傾向が存在するのもまた事実。そして、その差を生むのは「緩急の大きさ」と「直線の長さ」の2点になります。
まず「緩急の大きさ」ですが、これを決めるのは「スタートから最初のコーナーまでの直線距離」。と言うのも、先行馬が有利になる(不利にはならない)のは前半も中盤もスローになるいわゆる「前残り戦」か、前半も中盤も適度に速くて先行馬が過度に消耗せず、差し馬が直線に向くまでに前との差を詰められないワンペースパターン(前残り戦に比べて先行馬には持久力が求められますが)。前者は「緩→緩→急」なのでペースが変わるのは緩→急の一度だけで、後者は「急→急→急」なのでペースが変わるタイミングは無し。
一方で先行馬が不利になるのは前半が速いものの中盤で緩み、直線で再加速するパターンで、これは前半に負荷が掛かる割に中盤で緩むことで差し馬に差を詰めさせるチャンスを与えることになりますから、直線に向く段階でより余力があり前との距離差も小さい差し馬有利に。これは「急→緩→急」パターンなのでペースが変わるのは急→緩と緩→急の二度になりますから、緩急が大きいほど差し馬有利、緩急が小さいほど先行馬有利となります。
もう一つの「直線の長さ」については説明するまでもないですが、コーナーで先行馬を抜くためには基本的に外から進出するパターンがほとんど。コーナーで外を回す=より長い距離を走らされる状況で前を抜くにはかなりのスピードが必要なわけで、ならば内外の距離差が生まれない直線で前を抜く方が楽。従ってコーナーで勝負をする必要がない長い直線であるほど差し馬有利であるのは当然で、逆に直線が短いほどに先行馬に優位性が生まれます。
つまり「緩急が大きく」且つ「直線が長く」なれば圧倒的差し有利、「緩急が小さく」且つ「直線が短く」なれば先行馬有利になるわけですが、それを踏まえた上で各マイルコースの「最初のコーナーまでの距離」と「ゴール前直線距離」がどうなっているのかを見てみましょう。

これを見ると、コーナーまでの直線もゴール前の直線も長い新潟芝外1600mや東京芝1600mが差し馬有利で、逆に両方ともが短い中山芝1600mやゴール前の直線はそこそこもコーナーまでの距離が短い中京芝1600mが先行馬有利になると予想されます。
では実際にどうなのか、過去10年における各コースの脚質別成績を見てみましょう。尚、データは2024年までの過去10年、新馬戦を除く13頭立て以上戦を対象としています。
3角4番手以内通過馬

ご覧のように、新潟芝外1600mと東京芝1600mは先行馬不利、中山芝外1600mと中京芝1600mは先行馬有利のデータが出ていますので、上の理論は正しいと分かります。
その観点で言えば、コーナーまでの距離がそこそこでゴール前の直線は長めの阪神芝1600mは差し有利コースと言えて、上のデータからも新潟芝外1600mと東京芝1600mに次いで先行馬の好走率は低くなっています。
ただ、先に書いたように差し馬有利の新潟・東京・阪神であっても大前提としては先行馬有利ではあって、この3コースにおける位置別成績は以下の通り。

全コース平均よりは差し馬の成績は上がっていますが、それでもやはり前有利ではあります。当然阪神芝外1600m単体も同じで、位置別の好走率は上と大差はありません。
では、クラス別毎の成績にも差はないのでしょうか?普通に考えればテンのスピードが上がる上級条件戦はテンの負荷が上がるわけですから、先行馬有利は薄れるはずですが・・・そこで阪神芝外1600mのOP・リステッド・重賞に限った位置別成績を見てみます。

ご覧のように、予想通りにより先行馬の好走率は下がり、差し馬の好走率は上がっています。そして阪神芝外1600mにおいては古馬重賞の番組がないため(代替開催だったマイルCSは除く)、重賞は2歳・3歳限定戦のみ。古馬重賞になればよりテンのスピードが上がる可能性がありますから、更に差し馬の好走率が上がっても不思議ではないです。まあ当然あくまでメンバー次第ではありますが、しらさぎSはコース平均よりもうんと差し馬が台頭する可能性は高い、と考えて良いと思います。
では、阪神芝外1600mにおける枠の有利不利はあるのでしょうか。

これは先程と同条件でのデータですが、外枠不利は明らか。ワンターンでコーナーもゆったりした阪神外回りだけに枠の有利不利は大きくないと考えがちですが、全くそんなことはないですね。
中でも7・8枠且つ3角9番手以下馬は複勝率10.2%で、7・8枠の平均値14.5%を大きく下回りますので、外枠の差し馬は評価を下げたいです。
続いて人気別成績です。

全芝コーストータルの1人気成績は勝率30.2%・連対率47.6%・複勝率59.6%、2人気は勝率18.4%・連対率35.2%・複勝率48.0%。阪神芝外1600mにおける1,2人気の好走率は全コース平均を大きく上回りますので、人気馬が強いコース。最初のコーナーまでの直線距離は十分、コーナーは大きく回りやすく、直線距離も十分にありますから能力を出しやすいコースで、これが人気馬が順当に走りやすい結果に繋がっています。
OP・リステッド・重賞においては、1人気の勝率31.6%・連対率48.7%・複勝率61.8%、2人気は勝率22.4%・連対率36.8%・複勝率51.3%と若干数字は落ちますが、それでも全コース平均と比べると高く、能力を発揮しやすいコースだけにレベルが上がっても人気馬が強い傾向に変わりはありません。
最後に種牡馬別成績。

これは出走機会50以上の種牡馬に限ったデータで、複勝率が高い順に並べたもの。主だったところではハービンジャー・ステイゴールド・ハーツクライ・ドゥラメンテが11位以下になっていますが、これらに共通するのは産駒の平均勝ち距離が長いこと(ほぼ1,850m以上)。ディープインパクト産駒(1,820m)、エピファネイア産駒(1,814m)、ダイワメジャー産駒(1,525m)、キングカメハメハ産駒(1,806m。晩年に平均勝ち距離が延びているのは2,3歳馬が居ないからでただの数字のマジック)、リオンディーズ産駒(1,640m)と上位馬は概ね平均勝ち距離が相対的に短めで、つまりスピード要素が足りない種牡馬には向かないコースと言えますね。
そして、出走数が27なのでリストには載っていませんが、この種牡馬産駒には注意が必要
↓ ↓

「FC2ブログランキング」の当ブログ紹介文内に馬名を記載しています(20位ぐらい・ブログランキングの更新が午前5時以降になりますので、それ以降にご確認下さい)
産駒の平均勝ち距離は1,772m。産駒成績【3-4-1-19】勝率11.1%(単回値473円)・複勝率29.6%(複回値139円)。8度の好走は6頭によって成し遂げられたものですから特定の馬だけが走った記録ではない点で価値も再現性も高いですし、単複回収値が示すように好走した8頭中7頭は3人気以下馬が好走したもので、この点にも高いコース適性を感じます。また、8頭中7頭が母父か母母父が大系統ミスプロ系馬だったことで共通し、ミスプロとの相性の良さも目立ちます。今年の登録馬にはこの産駒が1頭だけ登録していますが、同馬の母父は大系統ミスプロ系。これは無視出来ないですね
次回は「府中牝馬S」を分析します。