いつもご訪問下さり、誠にありがとうございます。
1日1クリックのご協力をお願い致します。


皆様、こんばんは。

本日は「安田記念」を分析します。
まずは舞台となる東京芝1600mコースについて考えます。
NHK1
NHK2
スタートは向正面右奥、2角立ち上がりあたりのポケットから。最初のコーナーである3角まで535m(Bコース時)もの長い直線が続くこと、序盤は下り基調になることからテンのスピードは上がりがちですが、長い直線を意識してコーナーに入る3~4F目にはやや息が入る傾向。4角出口から再加速する典型的な「急→緩→急」コースで、前半のペースが速くなるほどに、また中盤が緩くなるほどに差し有利になります。
ただ、前半3Fが流れ切らなければ「緩→緩→急」で前有利になりますし、前半も中盤も速ければ「急→急→急」で差し馬が道中で差を詰めるタイミングを失いますので中団より前が有利と、一筋縄では行かないのが難しいところ。特に前半3Fのペース読みは非常に重要で、ここを間違うと全ての予想の方向性が間違うことになりますので、展開予想が大変重要なコースになります。

これを踏まえた上で、過去5年のレースラップと3着内好走馬一覧を見てみます。
安田1
安田2
安田記念と言えば中盤も緩まない高速巡行戦で、東京マイルG1シリーズ(NHKマイルC、ヴィクトリアマイル、安田記念)の中でも最もタフでハイレベルになりがちだったわけですが、その潮目が変わったのが2022年。この年からは顕著に中盤が緩むラップに変化を見せており、レースの色が変わりつつあります。もちろんメンバー次第という面はあるのですが、このブログでも再三書いているようにレースにはトレンドが存在しているのも事実で、例えば2023年は逃げ候補としてウインカーネリアンとジャックドールが居ましたし、2024年もウインカーネリアンとドーブネが居ましたので、それぞれの馬キャラから考えても中盤が緩まない流れになっていてもおかしくはなかったはず。それが、それぞれ11.8-11.6秒、11.9-12.0秒と中盤2Fで緩むラップになっていますから、「そういうトレンドなのだ」と考えるのが自然だと思います。

2017~2021年:11.4-11.4秒
2022~2024年:11.9-11.9秒


これは2021年以前の5年間と直近3年間の中盤2F平均ラップを並べたものですが、その違いは明らか。

2017~2021年:34.3秒
2022~2024年:34.5秒

これは前半3Fラップの比較ですが、中盤で顕著な違いが出ている一方で前半ラップにそれほど大きな差がないわけですから、これはつまり緩んだ中盤で差を詰められる差し馬有利=前半のリードを中盤の緩みで失くす先行馬不利。更にはこの時期の東京は開催終盤で内が荒れて外差し馬場が顕著になりますから、差し馬有利に拍車が掛かることになります。
過去10年で3角5番手以内通過で馬券に絡んだ馬は11頭存在しますが、その内10頭は2021年以前の好走馬で、2022年以降の3年間での好走馬は1頭だけ。一方で、3角10番手以下の極端な後ろ位置から馬券に絡んだ馬は13頭存在しますが、その内6頭は2022年以降3年間の好走馬。また、前走3角5番手以内通過馬も2021年以前は【2-4-2-30】だったのに対し、2022年以降は【0-0-0-15】。こういうデータからも先行馬不利、差し馬有利が近年の安田記念の特徴だと考えて良さそうです。

もう一点、近年での顕著な傾向変化として挙げられるのがローテーション面。
2019年以前の10年間において、1~3人気の複勝率が全G1で下から2番目(44.4%)だったのがこの安田記念で、同時に8人気以下の大穴帯が最も多く馬券に絡んでいたのもこの安田記念でした(11頭=年平均1.1頭が馬券絡み)。つまり荒れるG1のラインナップに名を連ねていたわけですが、近年では様相が一変。2020年以降の5年間においては、1~3人気の複勝率は上から7番目(60.0%)に急上昇し、8人気以下の好走数は下から5番目(2頭=年平均0.4頭)と急降下。
なぜこのような現象が発生したのかを考える必要がありますが、先に答えを書おてしまうとそれは「余力の有無」で、これは先週書いたダ―ビーと同じ論理ですね。 安田記念は2月から続く上半期G1の最後から2番目に行われるレース。上半期の最終盤であることから各馬の消耗や余力が重要なファクターになりますが、人間が決めた一年の暦では半ばに当たることからか、例えば有馬記念のように消耗や余力について語られることが少ないです。そういう余力が無い状態で迎える馬が出走するために戦前の評価が当てにならない結果になっていたのですが、2020年以降も開催時期は変わっていないわけですから、近年の傾向はただの偶然と考えがちです。ただ、顕著に変わっていることがあって、それはここに向かうまでの臨戦過程。

2015~2019年
安田3

2020~2024年
安田4
これは近10年における3着内好走馬のローテーションを一覧にしたものですが、2019年以前は15頭中10頭が安田記念を迎えるまでに年2戦以上を消化しており、消化レース数の平均は1.80戦。一方、2020年以降で2戦以上消化していた馬は13頭中6頭で(ローテーションが異なる海外馬と3歳馬は除いています)、消化レース数の平均は1.38戦と2019年以前よりも減少。また、より余力に影響を及ぼす4月以降の使用レース数も2019年以前が年平均1.00戦だったのに対し、2020年以降は0.69戦まで減少しています。
なぜこのような現象が起きたかですが、まずは余裕を持たせたローテーションが常識として定着したことがひとつ(アーモンドアイが活躍した2018年頃から競馬界全体にそのようなローテーションが採用される傾向が強まった)。もうひとつはドバイミーティングの位置付けの変化で、2021年からはドバイミーティング全体の賞金額が減額されたことにより、欧米からの参加馬のレベルが低下。一方、日本は折からの円安により現状の賞金額でも十分魅力的ですし、その上でメンバーレベルも落ちるのですから一流馬の本気度は当然アップ。マイラーの現実的なターゲットになるドバイターフに出走した国内G1馬は、2015~2021年までの7年間で合計1頭だけだったのに対し、2022年以降の3年間では4頭に増加。このドバイターフが一流馬のローテーションに組み込まれることで、それまで実質的に存在しなかった「3月のG1」が出現することに。安田記念まで中9週と間隔も適切であることから主流のローテーションとなりました。
これらの要因から、人気馬が余力を持ったローテーションで臨むようになり、より力を発揮出来るようになったことで人気薄馬の台頭が抑えられることに。結果として荒れやすいG1が堅いG1に変貌を遂げることになりました。

安田5
それは各券種の配当が2019年以前と2020年以降で様変わりしていることからも分かります。

そんな近年の安田記念においては、前走G2以下出走馬が【0-0-3-34】とほぼ勝負にならなくなって来ており、馬券に絡めた3頭(インディチャンプ、シュネルマイスター、ソウルラッシュ)はそれまでに古馬G1連対経験があったことで共通していますから、狙えるのは実績馬のみと考えて良いでしょう。これは前走G1出走馬(海外G1含む)についても同様で、馬券に絡んだ12頭中10頭は国内古馬G1好走実績を持っており、例外はロマンチックウォリアーと3歳時のシュネルマイスターのみ。つまり、どういう臨戦過程であろうと、古馬G1好走実績を持っていないと好走が難しいのが近年における安田記念だと言えるでしょう。

そして、余力の有無と言う観点で無視出来ないデータがこれ
↓ ↓

「FC2ブログランキング」の当ブログ紹介文内にデータ内容を記載しています(20位ぐらい)
該当馬は【6-7-5-42】勝率10.0%(単回値193円)・複勝率30.0%(複回値83円)に対し、非該当馬は【3-3-5-84】勝率3.2%(単回値49円)・複勝率11.6%(複回値36円)と顕著な差が。人気馬に限定しても同じで、5人気以内だったデータ該当馬は【4-6-4-8】勝率18.2%(単回値142円)・複勝率63.6%(複回値127円)に対し、非該当馬は【1-3-3-20】勝率3.7%(単回値71円)・複勝率25.9%(複回値54円)と大きな差がありますから、信用出来る人気馬はデータ該当馬だけと分かります。
これは近年に限った傾向ではないのですが、シーズン終盤且つ暑い時期でもあって、非該当馬にとっての「あれ」が相当堪えると言うことなのでしょうね。

と言うことで本日は以上です。

余裕があれば「安田記念」の追い切り分析を明日アップしますが、難しそうであれば先週までと同様に最終的な予想本文の中に簡易的な追い切り分析を組み込む形にしたいと思います。